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価値が伝わる会社と伝わらない会社の違いは?

自社の製品やサービスには自信がある。チームも一生懸命に頑張っている。それなのに、なぜか顧客に価値がしっかり届いている気がしない。そう感じたことはないでしょうか?

多くの経営者やマーケターがこの壁に直面したとき、最初に取る行動は「ウェブサイトを作り直す」「パンフレットのデザインを新しくする」といった見た目の改善であることが多いものです。しかし、外見を整えるだけでは、根本的な課題の解決にはつながりにくいのが実情です。

本記事では、「伝わる会社」と「伝わらない会社」を分ける違いを紐解き、デザイン経営の観点から具体的な解決のヒントをご紹介します。

では、具体的に「伝わる」とはどのような状態を指すのか。共通する3つの特徴を見てみます。

「伝わる会社」に見られる3つの特徴

自社の独自の価値が、社内外に明確に言語化されている
企業理念が、ユーザー中心の体験(UX)として形になっている
経営の最上流からデザインの視点が入り、一貫性が保たれている

なぜ「伝わらない会社」は生まれるのか

① 「強みの言語化」が社内でバラバラになっている

「御社の強みは何ですか?」という問いに対して、社員10人が10通りの答えを返す。実はこれ、決して珍しいことではありません。この状態は、会社の価値が共通の言葉として整理されていない証拠でもあります。言語化されていない価値は、残念ながら顧客に届けることが難しくなります。

言葉が定まっていない組織では、営業・マーケティング・サービス提供の現場で、それぞれ異なるメッセージが発信されてしまいます。その結果、顧客は矛盾したシグナルを受け取り、「この会社は結局、何が得意なのだろう?」と理解できないまま離れていってしまう可能性があります。

② 理念と体験の間に「埋めなければならない溝」がある

立派な企業理念やビジョンを掲げている会社は多くあります。しかし、その理念が実際のサービス設計や顧客との接点に反映されていないケースも少なくありません。

たとえば、「お客様第一」を掲げながら、問い合わせフォームへの返答に3日もかかってしまう。「革新的なソリューション」とうたいながら、実際の使い勝手(UI)が少し古く感じられる。こうした「言っていること」と「やっていること」のちょっとしたズレが、顧客の心に小さな不信感を生み、少しずつブランド価値を下げてしまう要因になります。

③ 「見た目」の改善が優先され、戦略が後回しになる

ウェブサイトやロゴを刷新してもなかなか成果につながらない理由の一つに、「誰に何を伝えるか」という戦略が固まる前に制作に入ってしまうことが挙げられます。

見た目の改善は必要な要素ではありますが、それはあくまで戦略を「表現する手段」であり、戦略そのものではありません。外観だけを整えることは、基礎のない家にきれいな壁紙を貼るようなものと言えるかもしれません。

【伝わらない会社と伝わる会社の比較】

伝わらない会社伝わる会社
強みが言語化されていない独自の価値が明文化・共有されている
理念と体験が乖離(かいり)している理念が顧客接点すべてに一貫している
見た目の改善が先行する戦略設計から始めて表現に落とし込む
デザインは制作部門の仕事と認識デザインが経営の意思決定に参画している

では、伝わらない会社から伝わる会社へと変わるためには、具体的に何から始めればよいのでしょうか?その鍵となるのが「デザイン経営」というアプローチです。

「デザイン経営」という答え

「デザイン」という言葉を聞いたとき、多くの方はロゴやウェブサイトの見た目を連想するかもしれません。しかしデザインは、単なる見た目の改善だけではなくて、本質的には「ブランドの構築」と「イノベーションの創出」を実現するための力です。このデザインの力を経営に活用し、企業を成長へと導く実践的な手法が「デザイン経営」です。

デザイン経営がもたらす2つの柱:ブランド構築とイノベーション

このデザイン経営は、「ブランドの構築」と「イノベーションの創出」という2つの柱を軸に機能し、企業の成長に寄与すると考えられます。

第1の柱:ブランド構築

ブランドとは、顧客の記憶の中に形成される「その会社らしさ」の積み重ねです。ロゴや色だけでブランドは作れません。顧客があなたの会社と接するすべての場面(ウェブサイト、営業トーク、サービス提供、アフターフォロー等)で一貫した体験が届けられて初めて、ブランドは根付きます。デザイン経営は、この一貫性を設計・維持する仕組みそのものと言えます。

第2の柱:イノベーション創出

ユーザーを中心に置いて課題を発見するアプローチは、これまで気づかなかった顧客の潜在ニーズを浮かび上がらせてくれます。市場調査やデータ分析だけでは見えてこない「人の本音」を掘り起こし、既存のサービスの体験を改善して新たな価値を生み出したり、新しいサービスや製品のアイデアへと昇華させる。これがデザイン経営が持つイノベーション創出の力です。

なぜ今、あらゆる企業にデザイン経営が必要なのか

デザイン経営は、決して資金や人材が豊富な大企業だけのものではありません。むしろ、リソースが限られる中小企業やスタートアップにこそ、価格ではなく「価値の伝わり方」で勝負するための強力な武器となります。

熱狂的なファンを生み出すブランドは、多額の広告費をかけずとも口コミで広がり、価格競争に巻き込まれにくくなります。実際、経済産業省や特許庁もデザインの経営活用を強く後押ししており、今や企業規模を問わず不可欠な視点となりつつあります。

「伝わる会社」になるために

ここからは、実際にどう動くべきか2つのアプローチをご説明します。

「言葉の設計」—自社の価値を言語化・構造化する—

なぜ言葉の設計が先なのか

ブランディングの出発点は「言語化」です。自社が誰のために、何をもたらすのかを明快な言葉で定義しないことには、ウェブサイトも、営業資料も、採用メッセージも、バラバラの方向を向いてしまいます。

言葉の設計とは、単にキャッチコピーを考えることではありません。「私たちは何者か」「誰の、どんな課題を解決するのか」「競合と何が本質的に違うのか」を整理し、全社で共有できる言葉に落とし込む大切なプロセスです。

言語化の具体的なステップ

・顧客インタビューと社内ヒアリングで「価値の原石」を発掘する

・発掘した価値を「誰の・何のために・どう違うか」構造化する

・ブランドコンセプトと、使ってよい言葉・避ける言葉の基準を策定する

・全社員が自分の言葉で説明できるレベルまで浸透させる仕組みを設ける

弊社では、このプロセスをブランディング支援の最初のフェーズとして大切にしています。経営者・現場担当者・既存顧客への深いインタビューを通じて、「言われてみればうちの強みはここだ」という埋もれた資産を掘り起こし、言葉として整理していきます。

「体験の設計」—ユーザー起点でサービス全体を再構築する—

「体験」とは何か

体験とは、顧客があなたの会社と接するすべての瞬間の積み重ねです。ウェブサイトを訪問した瞬間、問い合わせへの返答スピード、担当者のコミュニケーションスタイル、サービス提供後のフォローアップ。これらすべてが「体験」を作っています。

ユーザーを中心に考え、顧客の行動や感情、ニーズを起点にサービスを設計することが、他社との大きな違いを生む鍵となります。

ユーザー中心の体験設計プロセス

・顧客の行動経路(どこで知り、どう検討し、どう購入・利用するか)を可視化する

・各接点での顧客の感情や課題を分析し、「摩擦(ストレス)」を発見する

・摩擦を取り除き、期待を超える瞬間をどこに設けるかを設計する

・設計した体験を形にし、顧客の反応を見ながら繰り返し改善していく

体験の設計は、一度作れば終わりというものではありません。「柔軟に反復・改善を繰り返す」プロセスがとても重要です。市場の変化や顧客からのフィードバックを継続的に取り込みながら、体験の質を高め続けることが、長期的なブランド強化につながっていきます。

「言葉」と「体験」が一致して初めて「ブランディング」は成立する

ここで強調しておきたいのは、言葉の設計と体験の設計は別々のプロジェクトではなく、一体として機能させることが望ましいという点です。

どれほど優れた言葉があっても、実際の体験が追いつかなければ期待外れになってしまいます。逆に、素晴らしい体験が提供されていても、それが分かりやすい言葉として伝わらなければ、顧客の記憶に深くは残りません。「言っていること」と「やっていること」が重なり合ったとき、初めてブランドへの信頼が育っていくのです。

【伝わるブランドが育つための3つの条件】

・言葉の設計(自社の価値・強みの言語化と浸透)
・体験の設計(ユーザー起点の接点設計と継続的な改善)
・一貫性の担保(経営の意思決定レベルからデザインが関わる仕組み)

経営の「上流」からデザインを参画させる組織づくり

言葉と体験の設計を持続させるには、制作部門や外部の制作会社に「お任せ」するだけでは、どうしても難しさを感じる場面が出てきます。ここで重要になるのが、「デザイン的な視点を持つ人材の経営チームへの参画」と「事業戦略の最上流からデザインが関わること」です。

「デザイン責任者」を経営チームに巻き込む意味

大手企業では、デザインを統括する責任者(CDOなど)を経営チームに置く動きが世界的に広まっています。中小企業やスタートアップにおいても、「デザイン的な視点を持って経営判断に関われる人物」を社内外に持つことが、競争力を高める有効な手段となります。

これは、決して大掛かりな組織改革を意味するものではありません。たとえば、ブランドコンサルタントを定期的な会議に招いたり、事業責任者自身がデザイン経営への理解を深めたりといった、身近なところから始めることができます。

事例:「言葉」と「体験」を一致

ここまでお伝えしてきた「言葉の設計」と「体験の設計」を一体で進めると、実際にどう形になるのか。Cloud Creativeが伴走したshuku様・ときしろ様の事例をご紹介します。

ブランドの物語を、一筆のロゴからサイトまで通す

shuku様のご相談の核にあったのは、「飾られる場に、ストーリーが生まれる花を届けたい」という想いでした。これはまさに、記事で言う「自社は何者で、誰に何をもたらすのか」という「言葉」の部分です。私たちはまず、この物語をどう視覚に翻訳するかに時間をかけました。

象徴として選んだのは、好きだという胡蝶蘭。それを一筆で描けるラインに落とし込み、「縁」や「無限」といった意味、曲線の美しさを一本の線に込めました。装飾を足すのではなく、あえてシンプルにすることで、背景にあるストーリーがかえって伝わる——そんなロゴです。そして、この世界観をサービスサイトまで一貫して展開しました。「言っていること(物語)」と「見せているもの(ロゴ・サイト体験)」を重ねることこそ、記事で述べた「言葉と体験の一致」そのものです。

「余白」という体験を、運用し続けられる形に

もう一件は、記事の「体験の設計」を象徴する事例です。写真家・ときしろ様がサイトに求めていたのは、作品数の多さではなく「時間の余白」や「ストーリー感」を感じさせること。伝えたい「感情」を起点に、余白とのバランスを一つひとつ設計していきました。

同時に大切にしたのが、作り切って終わりにしない体験設計です。見せたい写真をご自身でCMSから差し替えられるようにし、限られた予算の中でも優先順位をつけて「やりたいこと」が叶う形に。テンプレートに寄せずに「らしさ」を保ちながら、公開後も継続的に育てられる状態を整えました。記事で触れた「体験は一度作れば終わりではなく、反復・改善を続ける」という考え方を、仕組みとして実装した例です。

この2社が示すこと

伝わるかどうかを分けるのは、デザインの華やかさではありません。自社の物語を言葉として定め、それを顧客が触れる体験にまで一貫して落とし込めているか。shuku様は物語をロゴとサイトへ、ときしろ様は感情を余白と運用の仕組みへ——アプローチは違っても、どちらも「言葉」と「体験」を重ねたからこそ、その会社「らしさ」が伝わるものになりました。

「上流設計」を外部パートナーと行うという選択肢

社内に適任者がいない場合、経営戦略の立案段階から相談できるデザイン会社を外部パートナーとして選ぶのも現実的な選択肢です。単にウェブサイトや資料を「作ってもらう」のではなく、「なぜ作るのか」「誰に届けるのか」「どんな体験を設計するのか」を共に考え、伴走する関係性を築くことが大切です。

弊社が提供しているのも、まさにこの「上流からの伴走支援」です。ブランドの言語化から体験設計、形への落とし込みから改善までを一気通貫でサポートし、言葉と体験の一貫性を保つお手伝いをしています。

まとめ:「伝わる会社」は、日々の設計から生まれる

「伝わらない」と感じるのは、決して製品の品質が低いからでも、予算が少ないからでもありません。価値の言語化と体験の設計が、少しだけうまく噛み合っていないだけかもしれません。

デザイン経営の本質は、「ユーザーを中心に置き、ブランドの構築とイノベーションの創出を経営戦略として実践すること」にあります。見た目を整えることは、この戦略を表現するためのひとつのステップにすぎないと言えるかもしれません。

伝わる会社になるための道筋は、決して特別なものではありません。

  • 自社の価値を言葉として設計し、組織全体で共有する
  • ユーザーを中心に体験を設計し、少しずつ改善を重ねる
  • 言葉と体験の一貫性を、経営の意思決定レベルから大切に守り続ける

これらが少しずつ整っていくことで、価格競争から抜け出し、自然と自社を応援してくれるファンが生まれるブランドへと育っていくはずです。そしてそれは、どんな規模の会社にも実現の可能性が開かれています。

伝わる会社になるために、Cloud Creativeのブランド出典:特許庁「特許庁はデザイン経営を推進しています」作り

「製品にもチームにも自信はあるのに、価値が届いている気がしない」——もしそう感じているなら、足りないのは予算でも品質でもなく、shuku様やときしろ様の事例のような「言葉」と「体験」を噛み合わせる設計かもしれません。

Cloud Creativeでは、経営者・事業責任者の方を対象に、お気軽にオンライン相談の場を設けています。ロゴやサイトを「作る」前に、「貴社の価値はどこにあり、それをどんな体験で伝えるか」を一緒に整理するところから始めます。

  • 埋もれている自社の強み・独自価値の言語化
  • 顧客接点(サイト・営業・サービス)の体験設計と一貫性の見直し
  • 上流から伴走できる進め方のご提案

まずは現状の課題や「なんとなく感じているもやもや」をお聞かせください。現状のサイトや資料を見せていただくだけでも大丈夫です。相談ベースでお気軽にご相談ください!

【参照サイト】

特許庁「特許庁はデザイン経営を推進しています」

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